介護現場で必要な基本的態度とは

介護福祉士やヘルパーなど、介護現場に従事する人であれば、対人援助の専門職として基本的態度を身に付けなればならない。これを怠ると、利用者との信頼関係が構築できなくなり、円滑な介護の実現が難しくなるからだ。特にホームヘルパーの場合になると、利用者の居宅という密室空間を中心に援助を行うため、利用者や家族しか知り得ないプライバシー情報にふれやすい。このような介護現場では、利用者だけでなくその家族とも信頼関係や協力関係を築かなければ、十分な介護サービスを提供することが困難になるだろう。そして、信頼関係を構築するにあたりカギを握るのが、まさに基本的態度なのだ。

ただし、一口に基本的態度といっても、コミュニケーション技法をはじめ職業倫理やノーマライゼーションなど、様々なスキルや考え方がある。もちろん全てマスターすることが理想ではあるが、短期間のうちに身につけるのはなかなか難しいのが現実だろう。そこで、介護現場で直面する様々なシーンに応じながら、自分が必要と感じたスキルや考え方を徐々にマスターしていくことが求められる。

例えば、利用者を理解したいのであれば、アメリカの心理学者であるロジャースが創始したセラピスト3条件を学ぶ方法がある。ここでは共感的理解として、利用者の感情に対して一切の審判的な判断や価値観を挟まずに、介護者は相手の内的世界である感情に寄り添うことが提唱されている。また、具体的なコミュニケーション技法を身につけたいなら、繰り返しの技法や要約の技法あるいは共感の技法や質問の技法など、様々なスキルを積極的に実践すべきだ。これに加え、介護福祉士法で職業倫理を定期的に再確認することも大切である。